プロローグ

文章をどうにかしたい。

「文才がない」と騒いでいたら、尊敬する人に「すでに上手なのでものになる気がします」というお言葉をいただいた。

そういうわけで、調子に乗ってブログを開設した次第である。

いざ文章を書こうとすると、頭の中で思考が留まってしまう感触がある。



ブログを書くのは初めてであるが、 “ブログ” というコンテンツには昔から親しんできた。

高校生のころは、毛皮のマリーズ・志磨遼平氏の『屑・フロム・ヘル』『コック・サッカー文學』や、同バンド栗本ヒロコ氏の『犬ネコ日記』、THE BOHEMIANS・平田ぱんだ氏の『平田ぱんだの工場』を愛読していた。

察しのよい読者諸氏は、もうお気付きだろう。
私は2010年代に心を置いてきた、バンドのファンである。

Spotifyがまとめた2021年のMy Top Artist 1位は、もちろんドレスコーズだった。

「あなたは、今年このアーティストの楽曲を最もよく聴いたリスナーの0.05%に入っています。」という、多いんだか少ないんだか分からない称号まで頂戴した。



そんな典型的な “サブカル” といって差し支えない人間であるが、 “サブカル” を名乗ることに抵抗がある。

私が大学生のころに 、“サブカル” という言葉が流行した。

その言葉が指す意味は、「カフェ巡りが好き」「カメラが趣味」「前髪ぱっつんボブヘアー」などだった。

「前髪ぱっつんボブヘアー」しか該当していない自分は “サブカル” なのか? と、よく自問自答した。

当時、ゴダールの映画をほとんど見尽くしていたが、そんな典型的な “サブカル” 人間には、居場所がなかった。

そんな時代があったのだ。

現在、あのころ “サブカル” 系だった人々は、みんなどこかに行ってしまった。

私はいまだ “サブカル” に拘泥している。

しかし、あのころ植え付けられた「カフェ・カメラ・ボブ」の印象から、自分は違うんじゃないかと、 “サブカル” を名乗れずにいる。

ヤプーズ『Fool Girl』の「どうかまるい輪に入れて ねえ指に止まらせてよ」という歌詞を思い出す。

どこかに、なにかに、当てはまりたい。
名前を付けてほしい。



……とりとめのない作文になってしまった。
でも、ブログってこういうものかしら。

これから、うんざりするほどなにもないこの日々を、吐き気がするほど愛してやまない芸術なんてもののことを、綴っていこうと思う。

これをもって、開幕のごあいさつとさせていただきます。



アーバンギャルド『さよならサブカルチャー』を流しながら)