音楽劇『海王星』のこと。
『海王星』が収録されている『寺山修司の戯曲9(思潮社)』を読みました。
この戯曲集、どっこにも売っていないけれども、図書館にはわりと置いてあるようです。
松雪泰子さん演じられる魔子は原作では20歳過ぎかそれくらいみたい。
劇ではそのあたりのセリフはがっつり削られていました。
他にも所々削られた箇所が見受けられました。
本編以外には、寺山さん記の作品ノートと高取英さんの解説に言及アリ。
作品ノートによると、演出は竹内健さん、音楽は石丸寛さんが担当する予定だった模様。
マイム指導がいるのも興味深い。
解説では「『トリスタンとイゾルデ』を下敷きにしている」と記してありましたが、当時の企画書に「『ミトリダート』を下敷きにしている」と書いてあるそう。
(↓企画書についてはこちらに記載されています)
演出の竹内さんは寺山さんの『家出のすすめ(KADOKAWA)』で解説もされています。
(↓表紙のカモメがカワイイ『家出のすすめ』)
それによると、1962年6月13日に石丸さん宅でミュージカルの企画の話し合いをしたとのこと。
『家出のすすめ』の「男が夢の中で女の人のお尻に触ったことを目が覚めてから謝りに行く」って話、『海王星』にもあるんですよ。
ちなみに『家出のすすめ』の刊行(初刊時の題は『現代の青春論』)は、『海王星』が書かれたのと同じ1963年。
九條今日子さんによると、当時竹内さんは寺山さん宅によく遊びに来られていたそうです。
(↓電子書籍で読みました)
(↓古本屋で入手しました)
どちらの本も竹内さんに関する記述は同じでした。
それにしても、新婚ほやほやの寺山さんが『海王星』で「結婚はきらいな奴とするに限る(『教授の唄』)」という詩を書かれているのはなかなか面白いですね。
上に貼ったコラムにもあるように、結局『青い種子は太陽のなかにある』が選ばれて、『海王星』は未上演になったとのこと。
『青い種子~』の演出は竹内さん、音楽は石丸さんだったようです。
これを知った時に「全部繋がった! ! !」と思いました。
というわけで、『青い種子は太陽のなかにある(KADOKAWA)』も読んでみました。
(↓表紙の書体がカワイイ『青い種子~』)
お父さんの名前が同じ彌平だったり、ブルースから始まるなど、『海王星』との共通点が多々ありました。
「月が出たなら(中略)まっくら闇ならキスキスキス」「七つの海のお月さま」と同じ詩も。
(↓ティザームービーで『酔いどれ船』が聴けます。「月が出たなら~」のほうです)
音楽劇『海王星』2021年12月6日(月)~30日(木) PARCO劇場にて上演!(ほか大阪/富山/宮城/青森/名古屋公演あり)
— 音楽劇『海王星』 (@parco_kaiousei) 2021年10月18日
作 #寺山修司
演出 #眞鍋卓嗣
音楽 #志磨遼平(#ドレスコーズ)
出演 #山田裕貴 #松雪泰子 #ユースケ・サンタマリア 他https://t.co/au24nNQ3HJ#PARCOSTAGE #音楽劇海王星 #舞台海王星 pic.twitter.com/C60wDe67h8
(↓2:26頃、『青い種子~』2015年ver.の「七つの海のお月さま」が見れます。作曲は松任谷正隆さん)
『海王星』の作中に薔薇が出てくるのと、舞台美術にポンペイのヴィーナスやミロのヴィーナスが使われているのって、なにか関係があるのかしら。
薔薇の花とヴィーナスって繋がりがあると神話にあったような。